自炊の時代/本の運命やいかに
本は消滅しない
本は消滅しません。断言します。ただし、発行部数は大幅に減ります。
なぜかというと、人間の体の性質によるところが大きいです。
みなさんも体験したことがあると思いますが、本を読んでいて気になった箇所があり見返したいとき、「あの辺に書いてあったな」というとだいたいあたります。
電子書籍にも、しおりなどの機能はありますが、とつぜん見返したくなる箇所までは対応してくれません。指を左に動かして、到達するのを待つしかないのです。
そのような長所は、本にしかないのです。
しかしながら、今まさに活躍しているお仕事女子やバリバリ男性のわたしたちには得意な分野ですから、本が追い抜かれるのは時間の問題でしょう。スマホと共有できるKindleなどのタブレット用電子書籍は、持ち物を格段に少なくしてくれます。
残すのは愛蔵本とリファレンスだけ。それ以外はゴミ
くわしくは、別の記事に書いておりますので簡単に触れます。
残す本は、愛蔵本(絶版や何度も読み返しているもの)、リファレンス(辞書やハウツー本、レシピ、公的な書類)だけです。
それ以外は、ゴミなので古本屋に売るかリサイクルに出しましょう。
自炊のコストパフォーマンス
自炊のコストパフォーマンスは、けっして高くありません。過去の記事で方法を紹介しながら書きましたが、浮気心は出さず「自分にとって」必要な箇所を自炊すべきです。
新作の小説を丸ごと自炊する人を見受けます。人それぞれなので否定はしませんし、ツールも便利ですから簡単にできますが、本で読んだ方が早いです。
そのうえで残す価値があれば、自炊するようにすると本当に自分に必要な本棚をクラウドに作ることができます。
自炊は手段であって目的ではありません。
自炊するか決めかねている方は、自炊セットをレンタルするという方法もありますので、試してみることをおすすめします。
電子書籍は一長一短、今後に期待
先ほどもお話ししたように、電子書籍には人間の性質に追いつけない点があります。
一方で、ワンソースマルチユースという、本には絶対にできない強力な長所もあります。最近ではOCRも発達してきているので、人間の性質にもだいぶ追いついている部分もあります。
現時点での問題は、すべての本(小説や雑誌と置き換えてもいいです)が電子書籍として出版されないことにあります。つまり、多くのケースで早く読みたければ本を買うしかないのです。
また、少し難しくなりますが、本はCDや新聞と同じく独占禁止法の除外規定が適用されて、どこの本屋さんで購入しても、同じ本ならば同じ価格です。
つまり、競争原理が働きにくいもので、電子書籍にも当てはまり安くなりません。
さらに、読書の習慣が膨大なストックとともに残っていることも電子書籍の普及の足かせになるでしょう。しかしながら、小学生時代からタブレットを使う今の子どもたちが現役になるときには、どうなっているかわからないのが正直なところです。
要約サービスの台頭
ここにきて、要約サービスが台頭してきました。むかし読んだ本を通して読む時間はないけれど、また雰囲気を味わいたという人には向いています。
本を捨てる踏ん切りをつけるのにも役立ちます。ぜったいに読まない本から順に捨てていくと、必ず楽しんだり苦労したりして読んだ本に出会うからです。
要約サービスのコストと自炊のコストを比較することは、けっして無駄ではありません。自炊には現実的な出費のほかに時間と失敗という見えないロスが待ち受けていますから。
一口メモ
自炊とは関係ないのですが、作家協会などは公立図書館に対して新刊本を置かないようにように訴えています。
本の売り上げが落ち込むなかで、図書館で読む人が増えていけば、やがて作家や関連する人々が大きな影響を受けるという理由からです。
ここにも、本へのニーズの高さがうかがえるのではないでしょうか。
ちなみに、こちらも別の記事に書きましたが、とくに図書館で借りた本などにブックカバーを使うなら、両ポケットのものがおすすめです。